表題は、金井美恵子さんの作品から勝手に借用。怒られそう。その余はほぼ自分で。

紅芍薬が開花しました

f:id:shiroi-black:20220415110802j:plain

芍薬


東京・世田谷にある小宅にあって、猫の額のような小さな庭で、暮れなずむ頃に、紅芍薬が音もなく、静かに蕾を開きました。

庭晩紅薬開

門閉緑楊蔭

これは、わたしの詩文ではもちろんなく、盛唐に生きた白楽天長恨歌の方)の作品の一部の切り取り。「紅薬」とあるのは、紅色の芍薬

夕暮れとなり、すでに門は閉じていて、新緑をつけた楊樹の木陰で、芍薬がひっそりと花弁を開いた。それを静かに眺める自分の心境も落ち着ていて、憂いはない。

日本の平安時代にあたるころに、唐の長安(たぶん)の一隅でも、陽春の暖かさにひかれるように、陽光のもとではなく、日の暮れ時に紅芍薬は花を開き、それを愛でた人がいたということで、千年以上も前のできごとと、まったく同じ見分をしました。

楽天は、中国映画の「妖猫傳」では、黄軒がその役柄を好演していました。あのおりの楊貴妃になったのは、台湾の張榕容で、「妖猫傳」では、花の宴で、芍薬のようにあでやかな楊貴妃が登場して、それを受けて、玄宗安禄山が戯れるシーンが圧倒的だった、と、誰もいわないので、わたしだけは、「 陳凱歌さん、あれって、とてもよかった」と、この小文の締めに言っておきたい。

これまでに、四色。これに、黒猫を加えて、合わせて五色。