表題は、金井美恵子さんの作品から勝手に借用。怒られそう。その余はほぼ自分で。

アインシュタイン方程式

 

ちょっと難解で手に負えないのかなあ、と思いながらも、肝心の数式は無視しつつ、なんとか読了したのが、須藤靖「宇宙は数式でできている」(朝日新書)。週刊文春での書評欄でほめていたので、<Amazon>買いをした。

 読んでよかった知らない世界。

 おかげ様で、いわゆる「ビッグバン」から遡って、その前の宇宙は、いったいどんなもんだったのか、という長年の疑問は、この本を読んで解消した。

 「そんなことは、わからない」

 これが須藤先生の回答で、たとえて、誰もが、自分自身でさえ、自分が生まれてくる前のことはわからない。なんのために生まれてきた、あるいは生きている、生かされていることすら、自分自身で説明することはできない。

 いくら138億光年の宇宙の深淵を探っても、宇宙の始まりにはたどり着けないらしい。宇宙がスタートしてからしばらくは、なにもかもぐちゃぐちゃで光が出てこれず、「宇宙の晴れ上がり」となった38万年後に、やっと太古の光が放射されて、それがいまも太陽系に届いている、というか、わたしたちの身の周りに存在しているのだとか。

 宇宙の始まりが138億年前とかその38万年後の「晴れ上がり」とか、身近なところでは、なぜ<ZOZO TOWN>が乗った打ち上げロケットが垂直に打ちあがって、地球の周回軌道を猛烈な速さで回っている国際宇宙ステーションと、特定空間で問題なくドッキングできるのか、などなど。なんでそんなことがわかるのかというと、宇宙学だけがもっている歴史的な積み重ねの研究の成果と観測の結果で、方程式があって、そこに変数の数字をいれると、結論がでてくるらしい。

 これ(↑)が、宇宙のすべてを説明するアインシュタイン方程式で、「時空=物質」という考え方を数式で表現できるのだそうだ。

 「わからなくてもいい」と、須藤先生は繰り返しているのだが、わかりようがない。

 2世紀のプトレマイオスに始まった天文学は、関ケ原の戦いのころに、ガリレオ・ガリレイが、望遠鏡で木星とイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの4衛星を観察し、その後、コペルニクスが地動説を唱え、ケプラーが惑星が楕円軌道を描くことを発見し、ニュートンがそれを実証し、アインシュタインが一般相対論で宇宙を司る物理法則を説明して、おおまかにいって、現在に至っている。

 いわゆるビックバンで宇宙は始まり、なんでも吸い込むブラックホールがたくさんあって、銀河星団があちこちにあって、宇宙は、よくわからないダークマターなんかでも満たされていて、しかも猛烈な速さで膨張している。ーーこんなことが常識になったのは、上記の天文学者が寄与しているわけなのだけれど、わたしたちの好奇心も相当なもので、天文学者だけでなく、それを曲がりなりにも理解し、ノーベル賞なんかで、その成果を称賛し、見果てぬ地平を探求し続けるといったことは、人間が人間たらしめている証左のひとつなのでしょうなあ。