表題は、金井美恵子さんの作品から勝手に借用。怒られそう。その余はほぼ自分で。

わたしなりのご飯

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staub ラ ココット

 コロナ禍に巻き込まれてから、もう2年余が過ぎてしまった。海外旅行に出かけることもなくなった。どこにもいけない。JTBとかHISの経営が苦しいわけだ。JALとかANAももちろん。
 タイ・バンコクの某ホテルのバーで、メコンウィスキーをやっていたら、中国のご婦人客がバーに独りで入ってきたものだから、上品な(!)ほほえみとともに、隣席に招待したことがあった。

 「大姐」と呼びかけたら、「わたしの場合は、小姐と呼ぶべきだ」と笑って返してきたさばけたお姉さんで、山東省の青島で家具の製造業(二代目)をしていて、素材の買い付けにバンコクにきているのだとか。日本にも行くとか言っていた。

 で、日本人のわたしに聞きたいことは何でしょうか、と尋ねたところ、「あなた方は、日常的に何を食べているのか」という問いかけが、まっさきにあった。

 この返事は一般的には簡単なのだけれど、言いよどんだのは、わたしは一合炊きにこだわっていて、ご飯は、忙しくなければ、自分でいつも小一時間をかけて炊いている。これまでに軽い焦げ目を狙ったあげく、土鍋を焦げ付かせていくつかダメにしてもいる。

 いまは、土鍋をあきらめて、フランス製の鋳鉄ニッケルメッキのストウブ「ラ ココット」に落ち着いているのだけれど、これでどうやってご飯を炊くかのかというとーー。

① お米を研いだあと、30分ほど水に浸す。

② ざるに上げて、5分ほど水を切る。

③ 所定の分量の水とお米を「ラ ココット」に入れて、弱火で、蓋をせずに中身がふつふつと泡を立てるまで待つ。

④ 頃合いを見計らって、蓋をかぶせ、さらに火を弱めて10分間炊き込む。

⑤ 10分が過ぎたら、火を止めて、さらに10分間蒸らす。

 これで炊き上がり。

 こんなことを、初対面の中国の方に説明すれば、「変な日本人」と認定されることは必定だから、まあ、無難に一般的な説明をしておいた。朝食は、パンだね。昼食は麺類。夕食はご飯が主体、とか。

 一期一会。

 いまは、東京の自宅でちんまりとしているだけ。あれが最後の外国行になったとは。